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淡の間 x CIY 対談(後半)
 
 
K : オーナー小山
M : マダム
A : 淡の間(文中記述フキコも該当)
 
 
A 結局は「全部同じ」だと思うんです。占いも同じで、世界中にあらゆる占術がある分だけ自分の一面がある。入り口が違うだけで、政治でもスポーツでもファッションでも、セラピーとしても身体のケアでも占いでもメンタルケアでも、追求して行き着くところの核となる部分、本質的には求めるところの根っこは一緒なのではないか、入り口がどこであろうと大切なのは何をしようと自分でしかない。それが服じゃなきゃダメ、音楽じゃなきゃダメ、みたいにあらゆることをカテゴライズされていたのが今までの流れだとしたら「全部合わせて自分がやりたいことはこうです」と言えるようになる。何かひとつじゃなくていろんな自分がいることを許せるようになる。それはある意味、「特別な自分になろうとしない」ということでもあります。
元々、CIYの姿勢は初めからすごく柔軟です。始めは「何屋?」と思われていたかもしれないけれど、とても新しかったんですよね。だから気になって仕方なくて、『一体この人たちの視点で見える世界はどんなものなんだろう』『この人の見えてる世界の中に自分はいるのだろうか』と思う人もいたかもしれなかったんじゃないかな。
 
K CIYに来てくれる若い人たちに偉そうな説教をしたい訳ではないんだけれど、うち(CIY)に来たことでちょっとだけ世界が広がってくれたらいいと思うし、絶望の中にも希望を見出す一役を担っていたらと良いなとおこがましく思ってたりもする。今の世の中は世界中のものを家にいながらなんでも買えるから、わざわざ店を構えてお客さんに足を運んでもらってまで存在している意義はなんだろうと考えると、ただモノを売ってるだけではあまり意味がないというか… 「社会を繋ぐ一つの窓」のような存在でなければ存続していく意味なんかないんじゃないかって。何かしら「足を運ぶべき店」としての付加価値がなければ大資本と勝負ができないから。だって(ネットで買った方が)特典がついてお得だし、足を運ぶ手間もないし。それでもCIYに行きたいと思ってもらうには、ただ洋服を売るだけの姿勢では絶対ダメで。特にこのコロナのことがあってそれをより考えるようになったよね。だからうちの店だからこそ感じられる「この世界とのつながり」みたいなものをもっと打ち出していきたいねと春からずっと考えていた。その第一弾が必然的にこの企画になったんだけどね。
 
A そうだったんですか!
 
K そうそう。他にも色んなことをやってる職業の人を呼んでトークやってみようかとか、世界には色んな人がいるからさ。「こんな感じでいいんだ!」と視野を広げて心を軽くしてもらえるように。ただでさえこんな世の中なのに加えて、なかなか地方にいると可能性を狭くしてしまいがちだから、せめてうちの店と関わってくれたならCIYがパイプになって広い視野を見せられたらいいな、そんなことをしていけたらいいなと。
 
A 視野も選択肢も広がりますね。小山さんが熱量を感じて「これを見せたい」とか「紹介したい」とかそう思えるものが、物質だけじゃなくて情報や体験、価値観になって来ているということですよね。
 
K そうだね…とはいえこの場所を維持するためには商売としてお金を落としてもらって還元して行かなくてはいけないから物販がベースであることは変わらない。その代わりに自分たちが新しく見つけた洋服(モノ)をただ売るだけではなく、付随する付加価値を追求していかなければと改めて強く感じている、ということかな。あとそう、聞いてみたかったんだけど、ここ10年のあいだ特にここ5年ほどの間にSNSが中心になってトレンドが作られていて、需要と供給のバランスが変化してるよね。だって今はインスタグラマーが欲しいと言ったものを企業が参考にすると言ったふうに自分たち業界側ではなく需要側が流れを作ってしまっていることが多いから。「モノ」に対しての思いが「この服を着ることでこんな自分になりたい」という欲求ではなくて少し歪んだ「SNSに載せるため」という価値観に変化しているんだけど、そういう流れのことをどんなふうに捉えてる?
 
A 私がですか?(K:はい。)そうですね、自由さを求めたりカテゴライズされたくないと思いつつもカテゴライズされに行っているなと、SNSというフィルターを通すとそれがより顕著に見える気がします。ファッションとして個性を買いにいくという行為がSNSによって作られた流行による「カテゴライズされたそれら」になっているのではないかと。仕事をしていても感じるのですが、求めなくてもすでに「自分」であるはずなのに、自分だけの何か(アイデンティティ)を知りたいという思いが溢れて過ぎてしまった結果、もはや自分ではない何かになろうとしている。欲張りなんですよね。すでにある自分を認める他はないのに。脱線しますけれど…幼い頃から当てはめられてきた「進学しろ」「就職しろ」「結婚しろ」「子供産め」みたいな形式的な価値観に反発して、自由でありたい・多様性を認めて欲しいと願い、個性を求めて12星座占いとかヒーリング、セラピーを通して自分を知りたいと救いを求めるのですが、これは結局のところ解放ではなく「概念に縛られに行っている」という行為であって幼い頃から押し付けられていたことと本質的には同じ。無意識に同じことを繰り返して、また矛盾が生じていることに気がつけないでいる人が多いんです。「結局、何座だからこういう性格である」というのと「結婚しなければ社会的に〜」というのは、概念の押し付けという意味では同じことだから。問題になっているパターンの根っこがあるからそれ(根っこ=問題の本質)に気がつかない限り、同じところを堂々巡りするだけになっている人がとても多いんです。SNSの流行も世間的集合意識が「みんなと同じでいたい」という同調欲求と「特別な私でいたい」という承認欲求、それらが対になって矛盾が生じている。結局はここもまた、問題としては同じなのだなと思います。全てのことには意味があって、掘り下げれば本質的には同じことなんです。鏡を通してみた姿を受け止められるかどうかです。
 
K なるほどね…。それを「自分(小山)が思うファッション」という感覚で考えるとね、同じ洋服でもAさんとBさんが着たら違うものに見えるというのが(ファッションの)面白さだと思っていたんだけど、今の世の中はちょっとズレていて、例えばAさんもBさんも個性を求めつつもインスタグラマーの誰かと同じになりたがっている、という流れができているから、それにどうにか抗いたい。結局は「誰が着るか」ということだから、その人の芯がなければ何を着てもその人となりが見えるだけで誰かと同じようにはなれないんだよね。そもそも『この服を着ていればおしゃれになれる』なんて定義はなくて、着たい服を着こなすために既にある自分を認める・知ることでようやく求めていた自分らしさみたいなモノが見えてくるんじゃないかって、そう思っているんです。それが本当の意味でのファッションを通して表現できる個性なんじゃないかなと。
 
A 同感です。
 
K 俺たちはある程度名前のあるブランドもそうでないものも両方扱ってるんだけど、「ある程度名前のあるところ」だと、その中にはさらに、世間が買いたがるアイコン的なアイテムがあって、それを大量に仕入れればビジネス的にはとても良いんだろうけれど、そうはしたくないというか、セレクトショップをやるからにはただ世間的に売れるモノを需要先行で買い付けるだけならお店としての自分たちの意思がなくなってしまうし…まあ、どんなお店の何を選ぶかは結局ユーザー次第だし色んな問題を遡って掘り下げないと解決しきれないことなのかもしれないんだけど個人商店の強みがもっと活かされるようになって欲しいと思ってる。ブランドを買う、というよりも、小さい店から自分だけの特別なモノを買うという体験をもっと楽しんでもらうのがいいなと…そのへん、この先どうなんです?
 
A 新しい時代っぽいと思います!集団よりも個が光っていく。インスタグラム上のビジネスや大手企業が個人店の後追いをするようなことは、テレビや紙媒体がネットの流れを追いかけるようなことと同じで、メインメデイアの信頼度が薄れたり情報操作の速度が追いついていないから。流れを作るのは社会や店ですらなく「個人」になっている。それが良いか悪いかということではないと思うけど、これからますます無名の天才が沢山出てくるはずです。
 
K 自分もそう思うよ。もう少し、誰かのためのファッションではなく、自分のためのものになって欲しい。誰のためでもなくまず自分が楽しいとか、強くなれるとか、例えばメイクとかもそうだと思うんだけど、着飾ることをもっと自分のために楽しんで欲しいなと思ってる。もちろんブランド先行型でもなくてね。もっと本能として、自分の感覚を信じてくれたらいいなという願いがあるんです。そこと「占い」がリンクするわけではないと思うんだけど。
 
A いや、でもすごくリンクしますよ。結局私もそういうことを言ってます。みんな無意識に熱のあるものを嗅ぎ分けて反応して引き寄せられてくから、好きという力は本当に強いんです。むしろそうでないものは自然と淘汰されていくだろうし「好き」が強い存在は強い吸引力を持っているから、世界中どこにいても同志と繋がることができる。みんな「熱のあるもの」に縋りたいんだと思います。熱を欲しがってる。だからかっこいい人が持っているものは気になるし、バズってるものに引き寄せられていくのは、自分では起こせない熱に反応しているから。自分で熱を生み出せない人は分けてもらって乗っかるしかないですしね。でもその熱を独り占めせず、世界中どこにいても「分け合える」ってのがこれからの時代のポイントだと思う。だから陰謀論とかも流行っちゃうんじゃないかなと。あれって圧倒的に強い熱量ですよね。ちなみに好きの反対は嫌いじゃなくて、無関心。好きってことはつまり対象に関心があるってこと。とにかく物が多すぎるこの世の中でも「本物の熱を持ったモノ」に自然と人は集まるし、発信する側のエネルギーは絶対ごまかせない。なんだかんだ言っても、良いものは残る。
 
K 陰謀論者は熱量高いよね。信じて疑わないし。
 
A どこのブランドが好き、みたいなのも正直宗教のようなものがあると思います。ファッションは信者商売というか、ここの服を着ることにステータスを覚えるというのがあるから、陰謀論に近いものもありますよね。マウントしたがる信者というか、みんな違ってみんな良いと言いつつも選民意識が強いというか(笑)でも、ごまかせない本当の熱を持った人はすごくフラットなんですよね。
 
K まあ、こういう情勢の中で『人のあり方・自分とは何か』みたいなものをおうち時間を通して考える機会が増えたわけだけれど、これから近い将来このような見直しや過去を振り返る作業を今まで以上にやらざるを得なくなっていくよね。実際、既にやってる人が多いんだろうけれど。これは、淡の間的には「必然的にこのような流れになってる」と捉えているの?
 
A そうですね、西洋占星術の世界観で見る天体の流れにはとてもわかりやすく表れていると思います。これは自分たちが生活している太陽系の天体がどこでどんなふうに絡み合うのかというのを考えるんですけれど、いわゆる太陽とか月とか金星とか言われる天体のことを「私たちの心理状態」そのものだと捉えます。占星術師はそれらの天体が移ろい重なる時が自分たちの心理状態にどのように作用しているのかというのを世代的なものとか世の情勢と重ねてみたり、過去の歴史の中からも掘り起こして起こりうるパターンを探ったり、状況の共通項を見出したりするんですけど、一つの問題が限定的に起こるのではなくいくつかの流れが同時進行で進んでいるんです。例えばさっき小山さんが言ったように自分たちのライフスタイルとか自分たちの財産、価値、生産活動をして自分たちを豊かにしてくれる物、つまりわかりやすくお金にまつわる価値観とか、自己価値を示す分野で誰もが潜在的に抱えている意思や願望・状況に対して『革命』が起こっています。なのでいま「自分たちの物事の捉え方やライフスタイルそのものが変容している」と感じるのはその影響もあるのかなと。持たなくてもいいものとかやらなくてもいいこととか無くなっていくだろうな。あと並行して起こっているもう一つの流れ、2020年の1月半ばに本格的な感染が世界中で広まり始めてようやく日本にも上陸してからの3月後半から6月後半というのは「新型ウイルスの感染第一波」の期間でしたよね。緊急事態宣言が起こって、強制自粛期間に入り、その間に各々いろんなことが起こってあらゆる状況に順応せざるを得ないようなことが起こりましたが、それが「2020年12月22日以降の世界」の予行練習だったんです。わざと自分たちの生活に向き合わざるを得なくなり、変容・順応・立て直しをさせられた時期で、それはそうでもしないと見えてこない世界があったから。そのための練習あるいは予習みたいな時間でした。占星術を嗜んでる人からしたらある程度予測できたようなことを何も専門知識を持たない人でも「本当に、そうだった!」と強く感じられたこの事態は、多くの人が抗えない運命の大きな流れを一斉に体感し、まさに集合意識の変容と天体の大規模な移ろいが同調していたと感じられるのではないかと思います。結局宇宙=自分でもあるので、それほど自分の中の意識が変容しようとしている…ということなんですけどね。変わりたくても変われないって人はもっと自分の根っこにある現実を見つめないといけない。
 
K GINZAに寄稿した「2020年はこんな年」って記事を改めて読ませてもらったんだけれど、記事が公開されたのは1月だったからおそらくオファーがあってから実際に文章を書いたのはそれよりもっと前だろうと。
 
A そうですね、2019年の11月頃に書いていた記事でした。
 
K 結果的にゾワっとするほど当たってて…「当たってる」って言い方が正しいのか分からないけど、とんでもないことが起こるってのを占星術的に予見してたわけじゃないですか。結果的に「そりゃそうだよね」って感じなんだ?
 
A そうですね、良いか悪いかって紙一重だから、私は新しい時代が始まることを手放しでは喜べなくて…。絶対に移行期間というものが必要だと思っていたからです。新しいことを始めるためには脱皮したり、練習したり、引っ越したり、再構築したりしなければならないことを考えると「はい、ここからスタートです!」なんていう簡単な仕組みではない気がして。自分の細胞の一つ一つを新陳代謝させて、新しい時代の空気や文化にアップグレードさせるには少々時間がかかります。もちろんそうなるためにこれまで準備をしてきたわけですけれど。早い人は指をパチンと鳴らす間に順応完了したりするけど一方でそうじゃない人もいる。例えるならば、頭のてっぺんからつま先まで栄養が循環するまで届く時間にムラがあるのと一緒で。大体2019年から2025年くらいまでは移行期間だと思っているんですが、その山が大体2023年くらいじゃないかなあと、だから当分はいろんな意味で大変かなって。もちろん早く順応する人もいますよ!これまで用意周到に準備してきてようやくスタートできるように無意識に足並みを揃えていた人もいるし。とっくに先をみていて「だから言ったでしょう」と思ってる人もいると思う。そんな人はこれからかなり息がしやすくなるんじゃないかな。新しい時代の流れを生み出す誰かがいる一方でわかっていても立ち止まったままになってしまう人もいる。これも新陳代謝のようなものだから、どこかでけじめをつけて終わりと始まりを感じなければならない。一つじゃなくて二つあるいは沢山、どっちかじゃなくて中間、縦から横、集団から個にどんどん変容していきます。本業だけじゃなくて副業もオッケーみたいなのもそれ、それも言ったらコロナの恩恵かもしれないですね。そうじゃないと順応できなかった人多いと思う。
 
K この2020年に起こったことはあくまでキッカケみたいなもの?
 
A ですね!ここ数年の流れをまとめた上での警鐘と、土台と基盤の再構築って感じです。いよいよだからね、準備しててね、受け入れてね、っていうのをじわじわと。一度ぶっ壊して築き上げてく。そしてここからが本番だから、モチベーションの持続力が大切。
 
K まだ警鐘レベルなの・・・?それは心構えでどうにかなるものなの?
 
A 個人差ありますけどね。心構えは大事だと思うけど、大事なのはこれからどんどん価値観のアップグレードをしていく時期だから、自分たちが体験してきたこととの比較ができなくなって同じような感覚ではいられなくなる。とにかく身軽になっていくんです。持っていなくても軽くて幸せ。当然持ってても幸せ。幸せの形や生きていく方がもっとその人らしくシンプルになっていったらいいですね。あと、嘘がつけなくなります。すぐに暴かれる。まずはごまかしていた水面下のものが炙り出されるでしょうね。これまでにおける「成功」というわかりやすい価値観があるとすれば、具体的にお金を稼ぎまくって色んなものを買うとか、店を出すとか、結婚する、子供産む、とか…いろいろあるけれど形式的に当てはめられるような「決められた成功の形」は終わりにしないといけない。分かりやすくていいですけど、別に決められたものがなくても幸せになれるし、人それぞれだから。経歴というものもあまり必要なくなる。その人次第・当人の求めるものに行き着くのに必要なのは才能と熱量次第。いろんな意味で表面的な意識に覆われた本心を見極めて認めてあげないといけないです。だから、結婚しなきゃ、子供がいなきゃ、良いところに進学・就職しなきゃ、というステータス主義からは一度身を引いてみるべきかなと。全部重いエネルギーです。もっとも、その人が本当にそれを求めていたら全然いいんですけれど、別にそうでなくてもいいのに求める人が多くて、エネルギー的にもう重たくて持てないのに手に入っても結果的に辛くなる人も多いし本末転倒ですもんね。今大変ですよね。ジェンダーとかフェミニズム、人権問題の観点から見て少しでも失言すると総叩きだし…発言が憚られる。そのくらい、共感力(エンパシー)を育てる必要がある。
 
K (失言に対して)それはこれから良くなっていくから起こること?今がまだスタート地点だからなのかな?
 
A そうですね。新しいシステムは最初バグが起こりやすいから、トライアンドエラーを重ねていく数年になると思います。何度も言いますがこれも個人差ありますよ。これまでがトライアンドエラーの人生だったって人は、ようやく楽になるかもしれないし。そういう先に新陳代謝を済ませた人たちがこれからの新しい世の中を導いてくれて、みんなで一緒に良くなっていくための引導を渡してくれるんじゃないかな。「身軽なのって楽だよ」「こっち側で生きてこうよ」って手招きしてくれる。これまで生まれた時代が早すぎて「時代に潰された人」っていますよね。身の置きどころがなくて辛い経験をした人が息を吹き返すきっかけも起こるはずです。そして、先に身軽になって大勢の生き方を導いてくれる人たちが増えれば、次第に身の回りの人間関係や周辺環境をも底上げされていく良い連鎖が起きます。誰一人置いていかれることなく本当の意味で人それぞれが許されてくようになればいいなあと。あとは、これまで自分の人生について無関心でいたことへの戒めもあると思います。フェミニズムとか、地方と都市とか、二極化されたものの中間がもっと混ざって中庸になっていく。選ばれたものだけがこれからの新しい時代を生きていけるみたいな、何かを区分けしようとする考え方が苦手で、これまでの差別や選民思想や優劣思想を引き継いでいると感じることがあります。表面的には平等を求めているんだけど逆行しちゃってるという。
 
K コロナの状況もあって生死観が変容したり、その上で世間の生き残りみたいなものがよりサバイバル化してくけど、こういう痛みを生じながら淘汰していくもの?
 
A そうですね。前述の通り、熱が弱ければ引力がなくなるし、身軽になればなるほどごまかしも効かなくなりますからね。アパレルも厳しいですよね、生き残りというところで見ると。物理的に今後は軽くなった方がいいと言っているので。
 
K その兆候は既に、現実問題感じてるよね。
 
A  SNSやインターネットがあることでより拡散・発展するのは勿論なので、元々それがなくてもやっていける店とか、お客様との信頼関係が強固であれば別に問題ない話じゃないかと思いますけれどね。どんな状況でもブレないので。店主だったり店の存在感が人を惹きつけてやまないのであればそれが何よりの強みですよね、好きという感情は目に見えないけれど、感じるもの。そのエネルギーがどれほどあるかどうかが重要だから。
 
K ……(溜めて)はい。
 
A ステータスとか肩書きとか、何かを持っていることが偉いんじゃない。とにかく生きている心地がするものをみんな求めている。そういうコンテンツを発信できたり、本人がとにかく楽しそうだったり…競争的な意味合いではなく人に良い気を連鎖するような人が陽の目を浴びていくのではないかと。
 
K  SNSが発達して便利な反面「人にどう見られるか」というのを強く意識し始めたわけだけれど、逆に劣等感を掻き立てられることもある。SNSの仕組みが悪いわけではなく、自分の存在意義を見出すという観点でいうと、突き詰めれば「自分が楽しければいい」というもっとシンプルな使い方に変化できたらいいね。
 
A  SNS上で流行ったもので自分をアピールすることって虚像の中に生きるというか、他人の褌で相撲を取るみたいなこところもあるから…。後、自分らしさを知りたいと思っている人ほどプライドが高くて身軽になれないでいる。みんな怖いんですよね丸裸にされるのは。本当のことに向き合うのってすごく怖いから、人の真似してた方が楽なんです。でもその「怖い」という感情を乗り越えられた人から順番に新しい時代に順応できるんだろうと思います。何かを持ってることが素晴らしいという感覚の前に、何も持ってない自分を認めることからスタート。
 
K ざっくり、全員共通で言うとどんな心構えでいたらいいんだろう。
 
A うーん…「軽くなる」ですかね。これからはもっともっと身軽に上昇していくから。
 
K 軽くなるって言葉が重くのしかかるね(笑)
 
A そう軽くなるってほんと怖い!だってこれまでの感覚で言えば「重くなる」のが美徳というか、強みみたいなものだったのに、いざ大人になってみたら「持たなくていい」ってどういうことなの?!って思うかもですけれど。軽い方がどこへでもいけるし、ぐんと上に上がれます。持っている方が素晴らしいという価値観から、より身軽な方が生きやすいというものに変化していくはずです。軽くなればなるほど物事が進んでいくスピードも速くなっていくはずです。だから物理的に何か増やそうと躍起になっている人がいるなら、手に入らないってことは必要ないってことだからもう必死になる必要ないよと言いたい。
 
K これで大体まとまったのかな?(笑)
 
A そうですね(笑)どうでしょう、この話で伝わりましたかね・・・?
 
K うん!自分はこの企画、占いというものに対してなるべく半信半疑で向き合おうと思ってて(笑)カウンセリングだともっとパーソナルな部分を掘り下げるんだろうけどね。間口を広くするためには運営側で一歩引いて見ているやつがいるといいなと思うから。
 
A それも大事ですよ。絶対それはあります。
 
K でも、そんな懐疑的な視点を持っていても頷ける内容だったんじゃないかと思う。そんなに占いって感じじゃないね!
 
A ありがとうございます。こういう生業をしつつも、なるべくリアリストでいたいと思っています。自分に盲目にならないように…
 
K もちろん世間で言うオカルトに区分されるようなものがないわけじゃなかったけど、例えば急に肉食えなくなるとかさ。人によってはいろんな捉え方あるかもしれないけれど、腑に落ちる話が多かったな。30年周期で社会的な変化が起こりやすいとかもこれまでのモデルケースにもあったわけだしね。(※山羊座土星回帰)
 
A そうですね、その話は天体の公転周期による影響なんですけど、例えば土星は『抑圧・修行・熟成・時間』みたいな意味合いを持っている。そして木星は『拡大・発展』。なのでこの2つの天体は占星学的に吉凶の意味合いが強いんですが、その吉と凶の天体が20年に一度ピタリと重なるイベントがあって、それが2020年12月の冬至頃に起こるグレートコンジャンクションというものです。それが星座的にも地のエレメントである山羊座から風のエレメントの水瓶座に移動することで、この迎合を皮切りにしてより時代の色が変わっていくと世界中の占星術師やスピリチュアリストが話しています。でも私が言いたいのは、もちろんこれから新しい時代の色がより出ていくのだろうけれどだからといってすぐ変わるわけじゃないし、その概念にすら囚われない方がいいということを先ほどざっくりお話しさせていただきました。要は良い事と悪い事が表裏一体の側面で同時にやってくる事だろうと思うから、ちょっと怖いし緊張しています。これまでのことを取り壊して新しいものを作っていかなきゃならないから。
 
K 今年よりも来年か〜。
 
A うん。でもその衝撃に耐えられるように今年の経験があった。免疫をつける必要があった。という意味での前哨戦がこの2020年までのことだったと思うし、人それぞれ結果的に良くなるためのことが起こるはずです。すでに起こった人が大半だろうけれど。そして、この新型ウイルスというのは目に見えない未知のもので、これからやってくる予想できない新しい時代そのものだとしたら、やはりいろんな意味で人々の変容を促すものだったと思います。そのくらいパンチの効いたことを経験しとかないとこれからもっと想定外のことも起こるから覚悟しとこうね、という感じかな。通過儀礼のようなものでもあると思います。
 
K  じゃあやっぱり、ポジティブな物事の側面にはネガティブがある、その繰り返しなんだというバイオリズムをそれぞれが実際に体感することだね。後付けだけど、一番自分にとって衝撃的だったのは店名変更のところだった。名前って結構大事だから、前のお店の時もすごく最高の名前だと思ってた。だから不可抗力によって変更せざるを得なくなったことは自分的には天地がひっくり返るような衝撃で…震災後のそれが自分にとって辛く大きな出来事だったから、正直このコロナの一件はそれほどでもなかった。当時の衝撃と悲しさに比べたらね。店名変更のこと、正直すっごい悲しかったし大変だったけれど受け入れているうちになんだか楽しくなってきたんだよね。これで終われないという意味でもっといい店名をつけて自分たちを引き上げる事ができた。“ CIY “ になったからこそ出来ている事があるから、もしあの時(店名変更)してなかったらどうなってたんだろうという思いすらあるよ。
 
A それはとっても大事なことです。もっともっと良くなるためのチャンスをモノにできたって事ですものね。(図を書いて)地に落ちるような衝撃を受けた人はその分の反動を使って上に上がる事ができる。落ちたら上がるだけだし、手放した分だけ新しいエネルギーを循環する事ができます。今回のコロナショックなども含めて人生の中での大事件が起こった人は分かる話だと思うけど、衝撃を受けた反動の分だけ物事が動くから、人生を好転させることも絶対に起こるはずです。そうでもしなければ分からなかったと思う事があるはずだから。全てはエネルギーの循環によって成り立っている。挫折を経験した人は強いですよね。
 
K でも、上がるためにはまたその人の努力は必要だよね。
 
A そうですね、下がるより上がる方が正直大変ですもんね。だからこそ上がるためにはなるべく丸裸になって身軽になった方が楽なんだよってことを言いたい。灯台下暗しになりがちだから。CIYって新陳代謝激しいというか、容赦ないですよね(笑)
 
K 容赦ない!(笑)ちょっと大人になってきたけどね…。店名変更と震災を経て、結局自分たちは無力で何かが起こったときに抗えないことを体験して腹括ったから、時代の変化を恐れなくなったかもね。というより、変化してくのが必然じゃないかという感覚が生まれたかも。その結果、何か選択を迫られた時に自分が選んだことはどんな時もベストなんだと思えてるから。
 
A 自由選択意思、とても大切です。何事もまず自分の意思が先。
 
K 良い意味で「希望を持たなくなった」のは、理不尽さに引っ張られた時に怒りに身を任せるよりも歯を食いしばってでも前を見た方が結果的に良くなった経験があるから、損失を良い方向に捉えられるようになったってことなんだろうな。
 
A 誰かに何言われても、「choice is yours(選択はあなた次第)」ということですね。
 
K そういう意味では「choice is yours」が盾になってるね。ずるい言葉だよね。(笑)ちなみにこの世に出ようとすると漏れなくアンチがついてくるけど、フキコにもアンチがいるの?
 
A どうでしょうね…?
 
K 具体的に感じたりはしない?
 
A そんなに有名でもないし、まだ分かんないけど何か見たら普通に落ち込むと思います(笑)でも一周回って好きなんだと思いますけどね、関心があるってことだと思うから。好きの反対は無関心だから…
 
K なんか、発言も立派になられてねえ…負のエネルギーって強いしね。
 
A 気にしちゃうのは疲れちゃう。これから新しい時代が始まって嘘が暴かれて身軽になっていく過程で全てが明るみになるなら、ネット上の誹謗中傷とか掲示板みたいなものもなくなっていって欲しいですね。良くも悪くも全てのことが然るべきようになればいい。自分は「北風と太陽」の太陽側でいたいなと思っています。
 
K(どういうこと・・・?)多分みんなよく分かってないその話。
 
M 多分小山さんは太陽じゃなくない?(ひどい)
 
A (笑)旅人に対して冷たい風吹かせて剥ぎ取ろうとするけどうまくいかないのが北風で、暖かい陽を照らして暑さで脱がせるのが太陽っていう話。北風のように闇雲に攻撃してもうまくいかないけれど、太陽のように暖かく照らすことで人は安心して解放される。
 
CIY あ〜〜〜
 
K むしろ、旅人かな?
 
A 脱がされる側?!(笑)目的は同じでもスタンスは太陽みたいでありたいなと思います。
 
M それ聞いたら、ちゃんと小山さんも太陽だよ。
 
A 私もそう思いますよ!
 
K ありがとうございます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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